こんにちは、おひぐ(@ohigur)です。
最近、山本文緒さん著の『自転しながら公転する』を読みました。
2021年本屋大賞ノミネート、第16回中央公論文芸賞受賞、第27回島清恋愛文学賞受賞など様々な賞を受賞している、いわゆる話題作です。
親の介護のために東京の仕事を辞めて地元に戻ってきた30代の女性が、恋愛・仕事・介護などで紆余曲折するストーリー。
そんな『自転しながら公転する』を読んで、私が心に残ったり考えたりしたことを書いていきます。
特に婚活で悩んでいるアラサーの女性は、『自転しながら公転する』読んではっとする文章が多いのでは?と思いました。
『自転しながら公転する』のあらすじ
与野都(32)は、母・桃枝の病気の介護をきっかけに東京の仕事を辞め茨城県の実家に戻り、地元のアウトレットモールで契約社員としてアパレル店員をしている。
同じモール内の回転寿司屋で働く貫一と出会い付き合い始めたが、中卒で経済的に不安定な彼と結婚するかどうか、都はいまいち踏み切れない。
恋愛に、仕事に、親の介護に翻弄される都が将来に向かってどのように歩いていくのか。
そんな物語です。
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読んで心に残った場面
『自転しながら回転する』を読んで、心に残った場面の感想です。
以下、かなりネタバレを含みます。
パートナーとして生きる術
「結婚をしなきゃいけないのは、社会で生きていくために絶対に必要な……。」
「結婚なのかどうかはわからないけれど、私はやっぱり誰かと連帯して生きていきたい。」
「パートナーとして生きる術は、結婚という方法を取らなくてもいくらでもある。でも私と彼は結婚という方法を選んだ」
主人公は都ですが、母・桃枝と娘・みどりの母娘三代の話でもありました。
最初のセリフは都の父の言葉で、今までは結婚して男が女を養うことが安泰への道という考えが強かったのかもしれません。
母の桃枝は紹介で父と結婚して「この人ではない人と結婚したかったが、離婚するまでの理由はない」と思っています。
2つめのセリフは都で、都は貫一とのいざこざを通してお互いの足りないところは補って一緒に生きていきたいという価値観が生まれたようにみえました。
最後は娘のみどりの状況で、みどりはダメなら別れればいいという考え方で結婚を決めます。
フィクションではあるものの、時代ごとに変化する恋愛観の描写が分かりやすかったです。
みどりの結婚の話は2040年の設定なので、想像ですが国外へ出稼ぎに行ってそのまま現地で結婚…な未来もあるかもしれません。
介護問題も複雑になりそうです。
自活できる経済力がない
「迷いの根本は、自活できる経済力がないことなんじゃないですか。」
これは都の後輩のそよかが、貫一に不安を持っている都にかけた言葉です。
都は契約社員なので、収入は実家に住んでやっと生活できるほどという設定でした。
彼女は将来を考える上で実家のような後ろ盾を無意識に貫一に求めていたので、彼のお金の使い方や経済力のなさに不安を覚えていました。
「貫一の経済力以外は不安が少ないのであれば、都が経済力を補えばいいのではないか?」と、そよかが指摘します。
その場面を読み、人に不満を感じるときはまず根本の原因を考えることと、自活できる経済力は大事だな…と思いました。
人に不満を感じるときはまず根本の原因を考える
人に不満を感じるときは相手に問題があると思いがちですが、意外と相手が自分の期待通りの行動をしていないから不満を感じることも多いです。
特に家族や恋人など親しい人だと甘えや理想出やすいのか、相手の不満ばかりが目について喧嘩してしまうこともあります。
もちろんその人自身に問題がある場合もあるので、見極めるためにも根本の原因を考えるのを意識していきたいです。
自活できる経済力
この場面でもう1つ大事だと思ったのが自活できる経済力。
なぜなら、自活できるほどの経済力があれば依存状態から脱却できる手段になるからです。
家族や恋人との同居、結婚で経済力を補うのは本来悪いことではありません。
が、経済力がないと、養ってくれる人の元で生きるしか方法がないなんて状況になります。
大黒柱の会社の倒産や病気、不倫、毒親、DVなどトラブルはいつ起きるかわかりません。
自活できる経済力があると、トラブルがあったときに対処できる余裕が生まれると思いました。
人の経済に口を出してしまう
「貫一はお金の使い方が刹那的すぎる!」
働いていた回転寿司屋が潰れ転職活動をしている貫一が都に高級なプレゼントをします。
が、貫一のそのお金の使い方に都がつい口を出してしまいました。
都が貫一のお金の使い方に言及したのは心配はもちろん、上述した「根本の原因に自分の将来の不安」もあったからなのですが…。
貫一からすると人の金の使い方に口出すなよって感じだと思います。
プレゼントをあげた気持ちもまで踏み躙られた気分になりそうです。
(私が貫一ならそう思います。)
この場面を読み、心配という体で相手を支配しようという気持ちはなるべく自覚して使わないようにしようと思いました。
私も自分が得意なことや客観的に見て「こうしたらもっと〇〇できるのに!」と思うと、つい口出してしまうこともあります。
選択肢の提示やそれとなく助言するのは悪くないと思いますが、自分の期待のために相手の行動に口出すのはNGですね。
当たり前のことですが、私もたまにやってしまうので自戒も込めました…。
人生はまさに「自転しながら公転する」
婚活、仕事、親の介護、モラハラ、セクハラ、パワハラ、転職、親からの呪い、 etc…
生きていると様々な問題に当たり、それが同時に重なることもあります。
『自転しながら公転する』はそんな様々な問題を抱えながら、受け身な主人公が少しずつ動いて変わっていく話でした。
気になった方はぜひ読んでみてくださいね!
ではでは。
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