ふっと鼻をぬけるハーブの香りや、いつまでも舌の上を震わす香辛料。たっぷりの油で炒められて、艶やかに光る食材。長い時間煮込んで具材そのものの味を引き出した、海を越えたどこか知らない場所の、家庭の味。
それらの味が、匂いが、食感が、私をもう一度旅に出たいと突き動かす。
けれども現実はそんなに頻繁に遠くに行くこともできなくて、
でも、その欲を満たしたいとただ燻っていても時間だけは過ぎていく。
だから私は、自分で”創作る”ことにした。
私は料理に精通しているプロではないし、ちゃんと調味料を計ったり、材料を全て本格的にそろえるのも正直にいうと、面倒。そもそも料理が得意なわけでもない。
けれど異国に魅了された私は、毎日行う”食べる”という手段でそれに想いを馳せる。
そして私は今日も一人暮らしの狭いキッチンから、食卓から、
どこか遠くの世界にトリップするのだ。
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